飛燕

ついにコンビネーションです。

はじめに

駒沢のNARU氏が考案されたこのコンビネーションは、私を虜にした流れる様な動きが魅力的です。
各地でスケーターの名や地名がついた亜種が生まれましたが、基本的にはフロント→バック→フロントの動きが対照的に折り込まれ
しかも足運びは大変効率よく考えられているインラインで自由に滑る為の練習教材にも大変優れた動きの技です。

憧れの技だけに「逆方向のバッククロスを完璧にしてから」等と勝手に敷居を高くしてきましたが、基本的にはそれぞれのクロスは1回しか現れないので
バッククロスが出来たら、飛燕の練習もぼちぼち始めて良いと思います。
それぞれに折り込まれたクローズターンや逆方向への振り返り等は、ゆっくりした動きで足の位置や姿勢を一つ一つ確認しながら体に覚えさせてゆきましょう。

切り返しや重心等については、個人のスタイルとして色々ありますのでこのページは足運びの参考程度に御覧ください。
完全オリジナルで動画もついた解説が
はろすけスクールにありますので、そちらをお薦めします。
NARU氏のオリジナルの足運びは解説の最後をご覧下さい。


いきなり亜種での解説です。(^^;)
回転の入り方が逆だったりスピンもないのですが、完全に対照的な動きで構成されている為に8個のパイロンで完結して練習には都合が良いのです。
道満では主にこの動きを初心者に教えています。
1
(胸側の足を基準に呼んだ場合)

右Fクロス
2
左回転のモホークにてバックに方向転換です。
これにより先行足が入れ代わります。
3
右Bクロスです。
顔を進行方向に固定した場合、ここは逆向きのBクロスとなり交差量が少なくなりがちです。
私の場合は、これが第一関門でこの3番目のパイロンをよく倒しました。
4
第二関門です。

クローズターンで先行足を入れ換えて、バックからフロントに向き直ります。

この動きは、多くの人が苦労する部分でもありますので別項目でいろいろと解説しております。
実はこの動きが、飛燕の方が大蛇よりも簡単な様なので飛燕を先に解説しました。
5
左Fクロスです。
6
今度は右回転のモホークでフロント→バックへ向き直ります。
もちろん(2)同様先行足が再度入れ代わります。

オリジナルの飛燕は(1)の次にこちらの回転から始まります。

右回転のモホークは左回転に比べて苦手な人も多いようですが
一回転だけですので習得に時間はかからないでしょう。
7
左Bクロスです。
ここも(3)同様逆に振り返った状態となりますので先行する後ろ足にも加重して
交差量をきちんと確保して下さい。
8
左回転のクローズターン(〜直後に先行足の入れ代わり)

以上で(1)の右Fクロスに戻ります。

その他の練習のポイント

逆足の練習
私が目標とする動きは軸が出来た流れる様な動きです。
その為には逆足を鍛えないとどうしても偏った動きになり軸がずれたコマの様な飛燕が出来上がってしまいます。

顔は常に進行方向
頭がグルグル振り返っていては、安定した動きは望み薄です。
常に進行方向を向いたまま各動作をこなしてゆきましょう。その為に、Bクロスはそれぞれ逆方向へ振り返った姿勢となります。

足の軌道を意識する
パイロンが潜る瞬間まで見ていては上半身が前倒しになったりといいことありません。
それぞれの足がどういう軌道を描いてどの位置にあれば(例えば右前足がパイロンの中間で中心線を越えている等)
パイロンを潜れるというポイントを確認すれば、あとは潜る瞬間を見ずに次のポイントへ視線を移せます。

抜き出して練習
苦手方向や苦手な繋ぎ部分が必ず発生すると思います。
その際は直前と結びつけて同じ方向だけで前・後・前・後・・・と集中練習が効果的です。
外国ではバレル・ロールと呼ばれているようです。

それぞれの足の軌跡がパイロンを結ぶ中心線を越える様な
円弧を意識して軌道を描きましょう。

第一関門の解説

上記解説で(2)と(3)のツナギ部分です。
この時の右足の位置さえ押さえれば3番目のパイロンも倒れなくなります。

通常のBクロスと逆の方向へ振り向く為に交差量が小さくなりがちですので、私は赤い軌跡に体重を乗せるようなイメージで引き足に加重しています。

なかなか、うまく行かなかった私は足の通過基準点として印をつけて練習しました。(Good!)

第二関門の解説

ここは基本トリックの解説部分で複数パターンの動きを解説しています。

(a) 左足の動きを止めて、右足で蹴りながら軸足にかぶせるスタイルのターンは、かぶせ足の練習が出来ていれば比較的簡単に出来るでしょう。

(b) 両足の軌跡がパイロンを中心とした円の外周に乗る様に回ると、右足の蹴り動作がなくなりスムーズな動きに繋がります。
この場合は左足を引きながら体重を乗せる動きですので逆足がちゃんと出来ていれば完成まで時間はかからないと思います。

私の場合

中折れ

ビデオで見ると体が「く」の字に曲がったり仰け反ったり・・・。(-_-;)

これはワイルド以前に格好悪いものでした。

これを改善するためにひたすら意識したのは上半身の伸びと視線です。
私の場合は体が硬いので捻りも不十分で視線が安定していませんでしたが
これを遠くに置くことで背筋が伸びてきたようです。

ウエーブ

どうしても膝の伸縮が加わるので、私の目指す頭が一定速度で平行に移動する飛燕が出来ません。
伸びたり縮んだりと波を描いています。

これを改善するために練習したのがクリスクロス。
特にバックについては右から振り向いたものと左から振り向いたものについて
できるだけ加重が前後の足に均等になるように意識しながら実践しました。

それと同時に視線が落ちる癖をとり除く為に、ひたすら遠くをながめて
足元のパイロンは視線でなくイメージ(感)で通れるようにひたすら練習です。


クローズターンの練習
軸足が出来ない円を書く様なクローズターンの練習の為のステップを考えてみました。
オープンを使ったスピンの様なモノですが、キレイな「ハ」の字を作る練習にはいいでしょう。
パイロンは位置関係の為に書いてますが、殆ど無意味です。
有効かどうかは、不明ですが・・・(^^;)
オープンで反転します。
先行足がパイロンとパイロンを結ぶ中心線を越えたあたり(上体が後ろを向いた瞬間)に
先行足のつま先を内側に向けて「ハの字」を作ります。
オープンに続く上体の回転の勢いがあるのでそのまま回転して再度正面を向きます。
かぶせ足にならない様に、足の形にだけ注意して「ハ」の字を維持できれば重心は均等にあるはずです。
回転が終わる頃に(自分が納得したら)フロントクロスを始めます。
早めに始めるとただのかぶせ足になってしまいます。


飛燕のアレンジとして私がよく耳にしたもので、カリスマスケーターの一人であるドクターの
「ドクター飛燕」についてK2 JapanのSkater's Voiceに質問したところ、ご本人から説明頂きました。
掲示板として流れてしまうのが惜しいので、転載させて頂きます。
皆さんもこれらの飛燕に挑戦してみたり、独自にアレンジを考えて見られては如何でしょうか?
Re:ドクター飛燕

『ドクター飛燕』とは、梁川君が完成させた元祖『飛燕』に、
私(ドクター)がやっていたコンビネーション系のトリックを組み合わせたものです。
そのコンビネーション・トリックとは、
ベル@道満さんの『カマイタチ』に類似した技で、
バッククロスからモホーク、フォワードクロスまでの流れを、
元祖『飛燕』にアレンジしました。
流れとしては

@ フォワードクロス
A モホーク(右回転)
B 左バッククロス(右足前)
C クローズ(左回転)
D 右フォワードクロス
E モホーク(左回転)
F 右バッククロス(右足前)→左バッククロス(右足前)へスイッチ(同時)
G クローズ(左回転)
H 右フォワードクロス

『飛燕』と比較して、F〜Gの動きが違います。
Fでスイッチすることで、F〜Hで一回転する様な動きとなります。
* 飛燕の動きはハロスケをご参照ください

〔7.右バッククロス→左バッククロスへスイッチ〕この動きが非常に重要で、
上手くやればパイロンをバッククロスでくわえ込む様に見えるはずです。
ここが上手く表現できないと、
“『飛燕』ができずにただ単純に回転してしまう人”の動きになります。
『ドクター飛燕』を上手く滑る(演じる)為には、
全てのウィールを接地させ回転させ流れのある滑りを行いつつ、
“変化(メリハリ)”を明確に表現するよう心掛けると上手くいくと思います。
トリックスラロームは、非常にマニアックで理解しがたい部分が多々ありますが、
基本的なスケーティングに
プラス各人の“コダワリ”みたいなものを感じさせるものがあれば良いと考えています。

ドクター

オリジナル飛燕(下から番号順にご覧下さい)
(10)Bスピン(左回り)
(9)左先行フロントクロス
(8)クローズターン(右回り)
(7)左先行バッククロス
(6)オープンターン(左回り)
(5)右先行フロントクロス
(4)クローズターン(左回り)
(3)右先行バッククロス
(2)オープンターン(右回り)
(1)右先行フロントクロス

 

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